第1回 心臓部の簡易設計と買い出しとクランク設計
翌日のROSの授業が終わったあと、我らkkkは集まり、会議を始めた。
前日に某教授に「抹茶たてロボは面白そうだ」と言ったところ、学生で全部作るのはまだ無理だ、順番に心臓部から作れば良いと言われたからだ。
というわけで、我らkkkは抹茶たてロボを、4つにに分解することを決めた。
・移動部
・お湯沸かし部
・抹茶いれ部
・撹拌部
そして、一番の心臓部である撹拌部から作ろうと決めたのである。
なぜなら、最悪撹拌部以外は手動でやればいいからである。
と、そこでROSの講義をやっていた某Y教授(第0回で出てきたのは某T教授)がやってきて、言った。
Y教授「今やってるROSで制御をすれば、良い訓練になるのではないかね?」
というわけで、心臓部である撹拌部は、Raspberry PiにubuntuとROSを導入して、ROSで制御することが決まった。
次に、心臓部の動作をチェックした。
youtubeで、プロの抹茶たての様子を観察し、以下のようなアドバイスを見つけた。
「2gの抹茶に対して60〜80mlのお湯を入れる」
「M字を書くように抹茶を撹拌する」
その様子を観察し、検討した結果、x軸y軸の運動のみで、撹拌を再現できると結論づけた。
その様子を見ていたY教授が、言う。
Y教授「いきなりM字を作ろうとするのではなく、横方向への動きのみのアームを作ってみろ」
と。
かくして、y軸方向に前後するアームを作ることになった。
問題は、機構である。
キャタピラを横にするのはどうだ。
EV3のパーツを流用するのはどうだ
そして、最後にkが叫んだ。
k「機関車のアレだ!!」
kk「それだ!」
かくして、機関車のクランク機構を参考にして、アームの基本構造を作ることに決定した。
いくつかの動画を見た結果、やはり一番単純な構造が良いだろうと結論になる。
これが、kが書いた簡易設計図である。
と言うわけで、とりあえずの方向性が定まった。
そして、本番を作る前に、一度試作品を作って見ようという話になったのである。
k「割り箸でできないか?」
k「クランクの部分には、自由関節を入れる必要がある。割り箸に穴を開けるのは難しいだろう」
k「そもそも円状の部品が必要だ、割り箸だけでは出来ない」
こんな会議の結果、とりあえず100均に材料を探しに行くことにした。
途中、kが飲み物を買いたいと言って、コンビニに入った。コンビニの飲み物のショーケースに行く途中、kの視界にあるものが入った。
紅葉饅頭味のチロルチョコである。
k「これ、和菓子の枠に良いんじゃない?」
k「いや、これ駄目なヤツじゃん、昨日やばかったよ。……たしかポケットに一つ……」
そして、kは昨日購入したという紅葉饅頭味のチロルチョコをポケットから取り出し、kに差し出した。受け取ったkはそのチロルチョコを半分に割ると、渡してきたkにまた戻してしまった。流石のkも、不味いと言われたものを全部食べる自身はなかったようである。
そして、kは紅葉饅頭味のチロルチョコを口に含む。含んでしまう。
次の瞬間、kは紅葉饅頭味のチロルチョコを吐き出した。
k「やべえ!!」
鞄から水筒を取り出して何度も口に含むkだが、どうやらいつまでも後味が残っているらしく、その顔はどうしようもない表情が続いている。
k「紅葉饅頭のこしあんの味と、チロルチョコの甘さがやばいほどあってねえ!」
そんな騒動を起こしつつも、我らkkkは買い出しに向かったのだった。
100均に入る前に、横に併設されているハードオフにてなにかよさげなジャンク品がないか、2分で確認してから100均に入る。なぜなら、閉店時間15分前だったからである。
100均では、k全員から500円ずつ徴収し、1500円の部品代を捻出して入った。
結果的に、我らkkkは茶筅を除くよさげな部品材料を手に入れることが出来たのである。
しかし、肝心要の茶筅が見つからない。故に、我らkkkはドラッグストアとスーパー2軒をハシゴした。
……しかし、残念ながら茶筅は見つからなかったのである。
k「もうこんな時間だし、何か買ってくか!」
k「お、あそこにたこ焼き串があるぞ」
k「いいな、あれにするか」
店員「これ、二本のパックになってしまいますが大丈夫ですか?」
k「問題ないです」
茶筅を探している内に、時刻はすでに8時を回っていた。夕食を採っていない我らkkkは、腹に何かを入れるために、割り勘でたこ焼き串を購入することにしたのであった。
しかし、問題は購入後に発覚する。
k「……たこ焼き串一本にたこ焼きは二個、それが2本。つまりたこ焼きは4つしかない……!」
そう、我らkkkは三人組。4は素数ではないが、3では割りきれない数である。我らkkkの間に、初めて緊張が走った。
そして、我らkkkは初めて内部紛争という手段を執行する。お互いにたこ焼きを求め、その手を握りしめて手を振り下ろしたのだ。
kkk「じゃんけん、ぽん!」
結果、まずはkが負けkkが残った。まさかのチョキの負けである。かなりチョキを信じていたkはいたくショックを受け、先にたこ焼き串を食べ始めてしまっていた。そんな状況でさえ一個しか食べなかったkは、とても精神力が強いと言えるのではないだろか。
そして、最期はkとkの一騎打ちである。
kk「じゃんけん、ぽん!」
そして、勝敗は無慈悲にも訪れる。勝利したkは「あ、勝った」とあまり嬉しくなさげに呟き、負けたkは「あー、一本か……」とあまり悲しくなさそうな声で言う。
そして、敗者は敗者らしく、勝者は勝者らしくたこ焼き串を食べながら、大学への帰路へついたのだった。
k「あー、まだ口の中にチロルチョコの味が残ってる……」
k「たこ焼き食ったのに?」
k「たこ焼き二個食えなかったせいだわ」
k「そのせいかよ」
帰路の途中、kがとある看板に気づいた。
k「ん? これ、学祭の有志企画?」
k「あ、これいいんじゃね?」
k「ああ、発表場所の目標としては良いな」
実は、某Y教授に言われていたのである。
Y教授「作るのは良いけど、コンテストに出場とか具体的な目標がないと支援はしにくいな……」
と。
だが、学祭で発表なら、明確で具体的な目標になる。我らkkkは、この抹茶たてロボを学祭までにくみ上げることを目標に、さらなる向上心に燃えたのだった。
結局買ってきたのは、
・合板一枚
・木製お皿立てセット 2枚
・竹ひごセット
である。
今日は機関車式のクランクの、仮組みぐらいまではしようと話し合い、喜び勇んで木製お皿たてセットの袋を破いた。
ところが、我らkkkにとって、誤算が生まれた。
お皿立てセットが、完全組み立て式だと思っていたのが、半組み立て式だったのだ。
お皿立てセットのパーツ一つ一つが欲しい我らkkkにとって、既に接着剤で接着されている状態は好ましくない。
よって、お皿立てセットをもう一度パーツ毎に分解する作業に入った。
しかし、その作業は佳境を極めた。
割と接着剤の粘着力が強く、パーツ毎に分離するのが容易でなかったからである。
そんな中、悲劇は訪れる。
机を使って力をかけ、パーツの分離作業を行っていたkが……主要部品に使う予定だったパーツを、折ってしまったのである。
k「あ、やったな!」
k「あっ……まあ2セット買ってて良かったな……」
k「せやな」
力任せにパーツを分解することに不安を抱いた我らkkkは、やっと工具をつかうという結論に至った。
k「んー、これはT教授の研究室から工具借りてくるわ」
k「了解」
k「あ、俺ブログ開設の準備しとくわ」
こうして、取り残されたkkはこのはてなブログ開設の準備と、パーツ分解を続けたのであった。
途中、kが作ったばかりのアカウントのパスワードを早速忘れ、パスワード再発行をするなどのハプニングはあったものの、なんとかブログの開設には成功する。
k「おっけー、ブログ開設終わったわ」
k「あ、俺文芸部だし文書くの慣れてるから、書くのはやるよ」
と言うわけで、kkは役割を交代して、kの帰還を待った。
k「おっけー、借りてきたよ」
k「お疲れ」
k「ブログ書いてるー」
工具が来てからは、パーツの分解は早かった。すぐにパーツ分解が終わり、分解したささくれを取るなどしてブログ執筆の終了を待ち、終わり次第すぐにクランクの仮組みにかかろうとしていた。
しかし、そこに無慈悲な警備員の声が突き刺さる。
「おーい、ここはもう閉めるから帰れよー」
……すでに、建物が閉まる時間を大幅に過ぎていたのである。
警備員につまみ出された我々kkkは、次回の活動について話しながら、それぞれ帰路についたのであった。
本日のブログ担当者 k